はらり、ひとひら。
神崎君は何度も斬りかかった。鬼はひらりひらりと、先の動きが読めているようにいとも簡単に避ける。
「っ─」
刀を振るっていた彼は突然腕を抑え苦しみだした。荒い息で、刀を持つことすらできないようだった。そこへ駆け寄ろうとした灯雅さんを鬼は背後から花弁で襲い、羽を大きく傷つけた。
「灯雅さん!!」
「愚かな人の子よ。弱いくせにまだ生きるか」
白い手と、真っ赤な鋭い爪がかたかたと震える。小さい赤の光が姿を現す。
「貴様ら全員、生かしておけぬ」
「やめてっ」
どうしよう。このままじゃ・・・!
「・・・ああ。お前が一番目障りだな」
紅は、ぽつりと呟いた。
「お前から、消してやろう」
鬼は身体ごと私に向き直り、片手を出した。