はらり、ひとひら。


「ぐっ・・・!?」


うまくいった…!

身固めの札。足止めや動きを封じたいときに使う、万能の札だ。


「何が起きているんだい」

「札を使わせた」

「札?」


師匠は神崎君と灯雅さんに得意げに説明している。早くとどめを…


「ぐっ・・・動けん、おのれ・・・ッ」


『寂しい…』


え…?


誰か、いる。ぐにゃりと視界が曲がる。立っていられなくなり私はその場に膝をついた。頭の中に直接映像が流れてくる。



「う…!」


頭が割れそうだ。ぼやけていた視界の焦点が合う頃、周りの音が聞こえなくなっていた。これは…彼女の記憶だろうか。


一人の老人と、これは・・・この妖だ、今と少し姿は違うけど、間違いない。



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