はらり、ひとひら。
「穢れた池を清め、どこかで静かに眠るんだろう」
眠る…じゃあ私は、ようやく彼女を解放してあげられたんだ。どうか、安らかな眠りを─。
「師匠、なんだか少しわかったよ。祓うだけが巫女の仕事じゃないんだ。…私、苦しんでいるひとは、妖でも人間でも助けたい。それが私の目指す道だと思うの」
じっと見つめると師匠は呆れ半分で溜息。
「甘ちゃんめ…いくつ命があっても足りんぞ」
「大丈夫だよ、強くなるから。それに─守ってくれるでしょ?」
優しい白に顔を埋めると、返事のように師匠は目を伏せた。
「─またね、」
優しい妖。彼女の記憶の中では確か、こう呼ばれていた。
紅蓮、と。