はらり、ひとひら。


─蝉がせわしなく鳴き合う季節。


「あーっ…つい・・・」


扇風機をフル回転してもこの暑さはちっとも和らいでくれない。少しでも体温を下げようと、しゃくりとラムネ味のアイスを齧る。



高校生になって、初めての夏休みがやって来た。夏休み前の理想は、海!山!プール!バーベキュー!で、あちこち回って夏を満喫する予定だった。あれほど待ち遠しかったのに…いざ来るとこの暑さだ。正直何もしたくない。



「師匠、だいじょぶー?」


窓際で伸びている師匠。


さっきから寝ているけど、脱水になってしまうんじゃないか。


「杏子ー、お使いお願ーいっ」


・・・げっ。

私は聞えないフリをしたけどすぐにお母さんは部屋まで入って来た。

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