はらり、ひとひら。
「ここの美術館は2階建てなんだけど…上の階には通称『呪いの絵』があるらしいんだ」
全員が、息を呑んで朝比奈君の言葉を待つ。
「その絵は、女のひとの横顔の絵らしいんだけど─見るたびに顔の角度が変わってな。正面を向かれて目が合ったらヤバいんだと~!」
ひいい、それ本当にシャレにならないじゃんか…!クラスメイトは口々に胡散臭いと笑っている。
「もしその絵を見つけたら証拠として俺の携帯に電話!そんで走って逃げて来い!」
顔の前で、朝比奈くんの青の携帯が揺れた。
「えーっ。2階も行くの!?」
「あたりまえだろ~!この呪いの絵が今日の肝試しの醍醐味なんじゃん」
スリルがあるほうが面白いし!と彼は笑った。…怨むぞ朝比奈くん。