はらり、ひとひら。


「さっき、学校に妖がいたの」

押し寄せる不安から、師匠を思わず抱き上げる。


「妖だと?血狙いか?」


「うん」


最近、いい妖ばかりと会っていたから忘れかけていたのかもしれない。


修羅の血を狙った妖が、腐るほどいるということを。


「人里に下りてくるとは面妖な。だが心配はいらんだろう。お前は言霊を操れる」


それはそうなんだけど、やっぱりほかの人が巻き込まれたらと考えるとぞっとする。



「心配なら札でも持って行け」


「うん、そうだね」


…気を引き締めないと。いつ妖が現れるかわからないんだから。

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