はらり、ひとひら。


「もしくは、魂を穢し再び森に放つかのどちらかだな」


開いた口が、ふさがらないということは、こういうことだろうか。


「そんなことしたら…!」


「ああ。穢れた魂にも帰巣本能はある。壊れた肉体に舞い戻り、穢れが頂点に達するとかつて妖だったそれは邪鬼となる」


「っ」


邪鬼(じゃき)。

聞かなくてもわかる。どんなに恐ろしくて哀しいものかなんて。


「奴らは見境がない。森にいる生あるものすべてを食い荒らす」


「だ、誰がそんなこと・・・!」


「私も詳しくは知らん。灯雅に少し聞いただけだ」


神崎君なら詳しく知ってるだろうか。明日学校で少し聞いてみよう。

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