はらり、ひとひら。
「狸よ、下僕がどうのどか言っていたな。悪いがこれはもう私の下僕」
「違うでしょ。師匠が私の式神ってことになってるでしょ一応」
「なに。勝手を言うな非常食」
師匠に呆れていると、狸の妖は私たちを驚いたように見ていた。…見れば見るほど本当に狸。
可愛らしい垂れ目、茶色い耳と丸っこい尾。
こげ茶色の髪は、無造作に高く結われている。人間でいうと、7歳くらいかな。まだ全然幼い。なんだか放っておけないや。
「何かあったの?」
とにかく話くらいは聞いてあげなくちゃ。