はらり、ひとひら。
「ち、違っ」
「何が違うのです?」
ぐっ、とおいらの首に鋭利な爪を携えた手がかかる。
「では、交換条件はいかがですか?貴方のことを見逃しましょう。代わりにこの娘を頂きます」
「ふ、ふざけるな!!」
がぶっと思いっきり手を噛む。必死だった。
「いいのですか?折角の好機を無駄にしても。貴方は助かるのですよ?人間など、所詮弱くて愚かな生き物だというのに」
「お前はわかってないな、人間は…本当は優しい、強い生き物だ!」
朱獅子は、口角を上げにまりと笑った。手から解放され、酸素を吸い込む。