はらり、ひとひら。
「巻物・・・?」
不思議な魔法陣や図形が描かれた巻物だった。
「それは桜子さんが書いたものよ」
「そうなの?」
「えぇ。あなたへの贈り物だわ。…おじいちゃんが口癖のようによく私に言っていたの。いつか生まれる初孫に、きっとすべてを任せてしまうのが申し訳ないと…」
だからおじいちゃんは、あまりおばあちゃんのことをあまり話さなかったのだろうか。
彼女は一体、どんな思いをこめ私にこれを託したのだろう。
私は、今までごく普通の15歳の女の子だった。
白と赤の巫女服と無数の巻物に見つめられ、心に小さな灯がともる。
私にしか出来ないことなんだ、これは。
「杏子、一人で抱え込もうとしないで…」
無意識に震えだした背中を、お母さんの腕が包み込んでくれる。