はらり、ひとひら。
強情さが。真っ直ぐさが。
けれど、あいつはこいつほど無謀な真似はしなかったか。─似ているようでまったく似つかない。縁とは不思議なものだ。
触れてはいけない。なのに髪を梳くと懐かしくてたまらなくなった。
「ししょ…傍に、いてね」
甘えるように、けれど どこか寂しそうに呟く杏子。幼子のようだ。
「…あぁ」
らしくもなく、感傷的になる。だから人は…好かんのだ。
「傍に居る。お前が目覚めるまで」
頭を撫でてやると、一瞬だけ杏子が微笑んでみえた。