はらり、ひとひら。



『樹君。どうしてうそばっかりついて、友達を困らすの?』




同じだ。みんな、同じ。


大人も子供も関係ない。誰ひとりオレをわかってくれるひとなんていなかった。オレは世界で一人ぼっちだ。



「ちが、違う。うそなんか、ついてない!なんで、見えないの?」


『樹君』


「…」


『一人が嫌なのはわかるけどね…うそついてまで友達の気をひこうとするのは駄目なことよ』


「…」


あぁ。オレは不幸な子だ。かわいそうな子だ。


『もう、変なうそついちゃ駄目よ?』


お前らのせいだ。みんな、みんな。うそなんかじゃない。だって本当に、そこに居るんだ。



「妖怪が─」


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