はらり、ひとひら。


そっと、神崎君の手が私の背に添えられる。自分でも気づかないうちに泣いていた。



「椎名さんには、仲間がいる。一人じゃないよ。俺も灯雅も、白狐も居るから…」


一緒に戦おう。凛とした声はいつだって私を勇気づけてくれる。




そうだ。逃げたりしてはいけない。私は巫女だ。神に仕え穢れを祓い人を守る役目がある。



戦うしかないんだ。


その穢れを撒く張本人がたとえどんな近しい人でも…



「─私は逃げない」



涙で濡れる目元を擦り、前を見据えるとやっぱり朱獅子は笑っていた。



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