はらり、ひとひら。
「な、なんですか?」
「実はな。今度授業で森に生物の観察に行くんだ。それで2人に頼みたいんだけど、今日の放課後いいスポット探すの手伝ってくれないか?」
「構いませんよ」
私の代わりにさらりと神崎君が返事を返した。
「ありがとうな。助かるよ」
いつもと同じ笑顔が私の心を突き刺した。先生、平気で嘘つける人なんだ…。
「じゃ、放課後なー」
「はい」
矢野先生は、軽く手を挙げて教室から出て行った。
今日で、終わるのかもしれない。“先生”って、呼べるのが。
「…椎名さん」
「…え?」
神崎君が、淡く微笑んで小指を差し出していた。…?指きり?
「約束しよう。無事に帰る約束を」
「─!」