はらり、ひとひら。


音もなく静かに現れた二体の妖。オレの式神だ。


「今日で何もかも終わりだ。放課後奴らを森へ呼び出した」


「そりゃあ、また随分面白そうな」


蛟の鋭い牙が妖しく光る。


「…暴れても?」


「勿論だ。大暴れしてやれ」


くすくすと、雪路も笑った。


もう戻れない。


オレは妖なんか大嫌いだ。こいつらだってただの道具に過ぎない。利用できるものは利用するだけ。



「ああ憎らしい」



きっと向こうはとっくの前から気付いてる。だから今更どうってことない。椎名が泣いても、神崎が怒っても。オレを止めることはできない。



「せいぜいオレを怨むがいいさ」


どうしようもなく腹の底から笑いがこみ上げ、オレは声を殺すことができなかった。


-------------------------







< 331 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop