はらり、ひとひら。
音もなく静かに現れた二体の妖。オレの式神だ。
「今日で何もかも終わりだ。放課後奴らを森へ呼び出した」
「そりゃあ、また随分面白そうな」
蛟の鋭い牙が妖しく光る。
「…暴れても?」
「勿論だ。大暴れしてやれ」
くすくすと、雪路も笑った。
もう戻れない。
オレは妖なんか大嫌いだ。こいつらだってただの道具に過ぎない。利用できるものは利用するだけ。
「ああ憎らしい」
きっと向こうはとっくの前から気付いてる。だから今更どうってことない。椎名が泣いても、神崎が怒っても。オレを止めることはできない。
「せいぜいオレを怨むがいいさ」
どうしようもなく腹の底から笑いがこみ上げ、オレは声を殺すことができなかった。
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