はらり、ひとひら。


*放課後*


足取りが重いけど、前に進まなくちゃいけない。


止まりそうになる手を叩いて袴の紐をきゅっと締める。


札を懐に仕舞い、頬を数回叩く。


ふうっと空気の塊を吐き出し、前を見据える。


「行こう、師匠」


けれど師匠は、いつものように頷いてくれない。


「…師匠?」

     
「お前、強くなったな」


いきなり何を言い出すんだろう。


「師匠?」

「いや、気にするな。行くぞ」

「うん」


どんなに大切なひとにも、刃を向けなければいけない時が来るのかもしれない。


そのときは、逃げずに目を逸らさずに、進むしかない。



分かり合いたいから、戦いたい。

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