はらり、ひとひら。


あぁ…最後の最後まで、何かの間違いであると思っていた自分が馬鹿馬鹿しい。目の前に立っていたのはやっぱり先生だ。


「先生は…先生です」


「聞いて呆れる、本当にお人好しなんだなあ。お前は」


ぱちん、と長い指が音を立てる。


ざっ、と音がしたかと思えばいつだか学校で見た女妖と、大きな龍が現れた。


「式神…!」


今にも飛び掛ってきそうだ。思わず私も札を構える。


「オレが憎いだろ?椎名」

「っ」


「オレを殴りたいだろ?神崎」

「…」


いつもの爽やかな笑顔はどこにもない。顔を歪めて笑う先生はひどく遠い人に思えた。

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