はらり、ひとひら。


なんでみんな見えないの?なんでオレには見えるんだろう。「普通」がひどく遠く感じた。


日に日に、いじめはエスカレートしていった。


「おい【うそつき いつき】!!」


【うそつき いつき】。いつからかオレはそう呼ばれるようになっていた。


「お前、なんかにとり憑かれてるんじゃねぇの?」


「ちっ…ちがう!」


違うのに、もう誰に何を言っても聞いてくれない。オレの言葉は─


「うそつきはこうしてやる!」


ドン、と。

強く押されて、水溜りへと身体が沈んだ。汚い泥水に塗れた自分が情けないことなど知れていた。



見上げた空は青かった。薄汚いオレをまるで遠くから─笑っているようだった。
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