はらり、ひとひら。


悲しいくらいひとりだった。


学校ではいじめられて、問題児なオレは教師たちも見て見ぬふり。


家でも、ひとりだった。


母親の再婚で、新しい父親が出来て幸せそうな母を見れて嬉しかった。


けれど、そんな些細な幸せも長くは続かなかった。


─バチン!


脳内が揺れるような感覚。


最初はなにが起きたか分からなかった。


けれど、じわじわと熱い左頬を押さえれば、何が起きたかなんてすぐわかった。


酒癖の悪い父は、酔っ払う度にオレを殴った。


平手のときもあったし、拳のときもあった。容赦のない暴力はオレを仕置きのようだった。



─痛かった。

心も、身体も。


母に必死に助けを求めたが、疲れた顔でオレを見ているだけだった。




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