はらり、ひとひら。
「どうして…」
先生は、顔を下に向け俯く。握った拳が震えていた。
「どうしてオレだけ苦しまなければいけないんだ!!」
飛び込んできた光景に目を疑う。衝撃波で吹き飛ばされそうになる。邪鬼かと思ったが、違った。
先生が叫んだのとほぼ同時に、背を突き破って生えてきたのは真っ黒い羽だった。
「なに、あれ…」
声にならない声が、情けなく零れる。師匠と灯雅さんが何か話している。
「いよいよ跳ねかえったか。自業自得だがな」
「人間ごときが呪術に手を出すからこうなるんだ」
先生は、両手で頭を押さえて膝から崩れ落ちた。一体何が起きているの?