はらり、ひとひら。


「どうして…」


先生は、顔を下に向け俯く。握った拳が震えていた。



「どうしてオレだけ苦しまなければいけないんだ!!」



飛び込んできた光景に目を疑う。衝撃波で吹き飛ばされそうになる。邪鬼かと思ったが、違った。



先生が叫んだのとほぼ同時に、背を突き破って生えてきたのは真っ黒い羽だった。


「なに、あれ…」


声にならない声が、情けなく零れる。師匠と灯雅さんが何か話している。


「いよいよ跳ねかえったか。自業自得だがな」


「人間ごときが呪術に手を出すからこうなるんだ」


先生は、両手で頭を押さえて膝から崩れ落ちた。一体何が起きているの?


< 342 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop