はらり、ひとひら。
「跳ね返り…呪術に失敗したり、力を使いすぎた時、その呪いは呪いをつくった本人に倍以上のダメージではねかえるんだ」
神崎くんは焦ったように呟いた。呪術…今まで行ってきた妖狩りのダメージが、全部先生に跳ね返ったっていうこと?…そんな。
「ああ…あ」
苦しげに呻く先生。黒い翼はめりめりと大きくなり、身体のあちこちに赤黒い禍々しい模様が浮かび上がった。人というには程遠い生き物が、目の前で作られていくようだった。
嫌、もうこんな先生見たくない…!
「先生!!」
「来るなあぁっ」
私の目の前に滑り込んだ師匠は、うねる翼をはじき返した。
「うああ、あぁ…」
よろよろと起き上がりながら、先生は何かを懸命に言っている。
「お、オレを殺、せ。蛟、雪路…!このままだと…ここにいる全員、殺してしまう!あ、うあ、ああぁあ─!」
こめかみを押さえて呻く先生。先生の式神たちも予測していなかった事態なのか焦りの色が見えた。