はらり、ひとひら。
「でもっ…」
こんな結末、あんまりだ。
─助けたい。
この言葉が、頭をよぎった。師匠を見ると何が言いたいのかすぐ悟ったのか、苦い顔をされる。
「無理だ。今回は例外だ。跳ね返りの人間相手に札など効かん。いいからお前は大人しくしていろ」
「だ、だけど…!」
冷たく返されて、頭が底冷えしていった。
懐から札を取り出そうとする手を、神崎君に掴まれる。強い意志を持った目。
「仮にあの男を巣食っている邪鬼を祓えば、器のあの男も消し飛ぶだろう。勝算は低い。何よりあんたの体が危険だ」
灯雅さんが、驚くほどさらりと言った。
八方ふさがりだ。他に何か方法は─
焦れば焦るほど、なにも思いつかない。その間にも、先生はさらに呻き声を強める。