はらり、ひとひら。
「…な、っ」
「何を…」
どしゃ、と音を立てて崩れ落ちるふたり。驚いて固まっている神崎君。ごめんなさい邪魔をして。でもどうか、許してほしい。
「先生、先生しっかりして!」
『無駄だぁ、この男の身はもう私のものだ…誰にもやらん…!』
先生の口から零れ落ちる、先生じゃない声。
「先生を返して」
一パーセントでも勝算があるなら、賭けてみたい。
『生意気なぁあ!喰ってくれる!』
氷から解放された漆黒の翼が私目掛けて伸びてくる。