はらり、ひとひら。
「先生!」
唸る矢野先生に駆け寄る。頭を押さえて、よろめきながらも起き上がった。
「椎名。それに神崎…」
「よかった、無事で…」
先生は状況がつかめていないのか、辺りをしきりに見渡していた。
「…先生、覚えてない?」
「ああ…ここ数日ずっと記憶が曖昧で。でも、胸が軽くなった気がする。何かが抜けて行ったような」
妖狩りのことももしかして覚えていないのだろうか。
「蛟、雪路。どうした、酷い怪我だ」
自分自身も怪我を負っているのにもかかわらず先生は傷だらけの自分の式神を見つけると駆け寄った。
「主様…あぁ、ようやく、元の貴方さまに戻られたのですね」
「なにがあった?頼む、話してくれ。何がなんだか…」