はらり、ひとひら。


「人間と妖が感じる、時間の進むスピードは違うんだって」


「?」


どういうこと?


「妖は人間と違って、長生きするでしょ?そもそも人間は、1年で1歳としをとるけど妖はとしはとらない」


彼の横顔を見つめ、こくこくと頷いた。



「ましてや、成長もしない」と彼は付け足した。


「全部の妖には、生きている意味がある。それはとある所の護りだったり、神だったり」


ふむふむ。


「大半は必要とされてきたから生まれたんだよ、妖って」



必要とされて生まれてきた─なんだか深い言葉だった。



「妖にとって、人間の一生はあっという間だ」


「…うん」


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