はらり、ひとひら。
「何からやる?」
「じゃあ…数学からお願いします」
全く勉強していないと言う私に気を利かせてくれた神崎くんは、放課後教室に残って一緒に勉強しようと言ってくれた。神様なのかな。
「ここは…」
丁寧にかつ分かりやすく教えてくれる神崎君。すごい、先生よりわかりやすいかも。
シャーペンを持つ、細いけど少しごつっとした手に鼓動が早まる。夏の肝試しの時、この手と手を繋いでたんだなあと思うと顔から火が出そうになった。
「ありがとう。教え方上手いね、やっぱりすごいや」
気恥ずかしくなってわざと大きな声を出した。
「そうでもないよ。他に、どこかある?」
「えっと、じゃあ化学もよかったら…」
話によると、神崎くんは理数系の方が得意らしい。特に数学はいつも学年の首位クラス。ちなみに飛鳥は理数よりだが文系も得意で、よく神崎くんとテストの点数を競い合ったりしてる。
朝比奈くんはこれまた意外にも頭がよく、歴史が得意。私はというと…家にある巻物や古い文献を引っ張り出して読んでた(解読した)おかげで、古文だけは得意になった。