はらり、ひとひら。


今日はカレーだ。丁寧に盛られたカレーライスと付け合せのサラダ。デザートに、手作りプリンもあると母は得意顔。


自分の部屋からリビングに来た海斗は神崎くんがいるのに気づくとかなり驚いた様子だったが、友達と説明するとふうんと納得した。


「…彼氏じゃないの?」


持っていたスプーンを落としそうになる。なんてこと言うんだ私の弟は…!


「あ。お母さんもそれ気になってた~」


「お母さんまで…!違うの、友達だよ」


「ふうん…」


怪訝そうな目をしないで。第一こんな格好いい人が、私の彼氏だったらそりゃ夢みたいだけどさ…その事実だけで私卒倒しちゃうよ。


「ごめんね神崎くん…デリカシーのない親と弟で」


「ううん、楽しいよ」



彼の顔は、いつもと違う落ち着いた笑顔じゃなくて、顔いっぱい笑う年相応の笑顔だった。神崎くんもこんな顔、するんだ。途端に胸が苦しくなった。


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