はらり、ひとひら。
寂しそうな横顔は、夜に溶けて消えてしまいそうだった。
大きな屋敷の中、部屋でひとりご飯を食べる彼を想像し胸が苦しくなった。
「俺は一人っ子だし、兄弟もいないからいつも一人で寂しくもあったんだ。家に使用人はたくさんいるけど…やっぱり、なんか寂しいものだよ」
「─いつでも、家に来ていいからね!」
冷えた指先を掴んだ。駄目だ、彼はやっぱり透明だ。強く見えて弱くて、朧げ。月のような人だ。
「どうしたら神崎くん、寂しくならない…?」
名のある祓い屋の跡取り。先代が亡くなって、若いながらも頭領となった彼。決められた未来。その細身に、どれだけ多くの重圧がのしかかっているか─私にはわからない。