はらり、ひとひら。


寂しそうな横顔は、夜に溶けて消えてしまいそうだった。


大きな屋敷の中、部屋でひとりご飯を食べる彼を想像し胸が苦しくなった。


「俺は一人っ子だし、兄弟もいないからいつも一人で寂しくもあったんだ。家に使用人はたくさんいるけど…やっぱり、なんか寂しいものだよ」


「─いつでも、家に来ていいからね!」


冷えた指先を掴んだ。駄目だ、彼はやっぱり透明だ。強く見えて弱くて、朧げ。月のような人だ。


「どうしたら神崎くん、寂しくならない…?」


名のある祓い屋の跡取り。先代が亡くなって、若いながらも頭領となった彼。決められた未来。その細身に、どれだけ多くの重圧がのしかかっているか─私にはわからない。


< 373 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop