はらり、ひとひら。
だけど、神崎くんがひとりで苦しむのはいやだな。
私が口を挟んでいいものじゃない。祓い屋と巫女はきっと、違う。軽々しく、手を出していいことではない。
だけど─彼だってまだ、私と同い年のただの15歳の高校生だ。
逃げたいときだってあるはずなんだ。逃げ道が必要だよ。
「おこがましいかもしれないんだけど…私が神崎くんの逃げ道になりたい」
一生懸命に考えた言葉だった。うまく言えない。全部をきれいに伝えられないのが、もどかしくて仕方ない。
遠くへ行って二度と帰ってこないような気がする彼が不安で、たまらなかった。彼の逃げる場所がこの世のどこにもないなら、私がなりたい。
「…椎名さん。それは駄目だよ」