はらり、ひとひら。
思わず朱獅子の顔を凝視してしまう。更に彼は続ける。
「人は相変わらず好きにはなれませんが。あの祓い人といい、貴方といい、たいそう変わっておわれる」
祓い人って、神崎くんのことだろうか。
「普通の人ならば、跳ね返りの人間など放っておくもの。それなのに貴方たちは無謀にも向かっていった。なんと愚かな」
これ、馬鹿にされてないかな…?とも思ったが無事に丸く収まりかけているので黙って聞くことにした。
「貴女の傍にいると絆されそうでいけない。あの白ギツネの情が湧いたのもこれでは不可抗力だ」
「!」
「式神になるつもりは毛頭ないが…貴方の傍は退屈しなそうだ。また何か入り用があれば、いつでもどうぞ」
頭をうやうやしく下げた朱獅子に声が出ない。な、なんでそんなに従順なんだろう。