はらり、ひとひら。


高校生になって、初めての冬休み。


「ヒマだなあ」


「どこかへ出かければいいだろう」


「ええー…でも家から出たくない…寒い」


「爺か…」


じじいはそっちじゃん。あ、そういえば戸棚にクッキーと新しい紅茶があったような。思い出して取りに行こうとしたとき。


「…ん」


ぴくりと師匠が起き上がった。


「どうしたの?」

「妖気だ」


ふわりと、目の前に現れたのは。


「灯雅!」


「杏子。今日何か用事はあるか?」


「特にないけど…」


「そうか。なら丁度いいね」


…なにが?



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