はらり、ひとひら。
「お酒くさっ…」
顔をしかめる。妖って呑兵衛しかいないんだろうか。
「あ、あれ…」
見覚えのある後姿をふたつ見つける。人垣をかき分け進んだ。
「神崎君、って矢野先生も?」
先生、こんなところきて大丈夫なの?つけていたお面をふたりは外した。
「な、なんで居るんですか?」
「ひどい言われようだなあ。居ちゃ悪いか?」
「そういうんじゃなくて、大丈夫ですか?」
人の心配をよそに先生は大丈夫大丈夫と笑った。
「でも、ばれないの?いくらお面しているとはいえ…」