はらり、ひとひら。
「春休み中でどうせ暇でしょう?これ、お墓にあげてきてくれない?」
そう言い残して母は袋に入ったお菓子と榊をテーブルに置いて、「よろしくね」と言い残し、そそくさと仕事にでかけたのだ。
ガサガサと、草木を分けながら森を進む。相変わらず見渡す限り一面緑。
見晴らしがいいが、花の女子高生(春から)が訪れる場所じゃない…。
「どうして我が家のお墓はこんな森の奥にあるんだろう」
お供え物ひとつ供えに行くのも容易じゃない。
でもこの傾斜を昇ればもうすぐ…
「はあっ。着いた」
上がった息を暫く整える。お墓はこの間来たときと変わりない。
ここへ来たのは二週間前、祖父が他界してそのとき家族でお線香をあげにきて以来だった。
「おじいちゃん、来たよ~」
榊や水を取り替え、お供え物とお線香を供え手を合わせた。