はらり、ひとひら。
私は咄嗟に 彼の手をとった。…やっぱり、冷たい。本当に雪だ。
「白神様。お願いです、考え直してください…!」
「…私が消えてもいくらでも代わりがたつ。私はただの妖だ。弱いといえど、神の座など誰もが欲しているゆえ、すぐに埋まる」
なおさらそんなの、優しい貴方にしか務まらないじゃないか。そんな大切なもの、みすみす他の妖に渡していいものじゃない。
「…っ」
どうしたらいいんだろう。言葉が出てこない。
「どうしても祓ってくれないのか」
「はい。できません」
すると 白神様はふっと笑い、呟いた。
「ならば。祓わざるを得ん状況にしてやろう。…今日の宴に人間が混じっているな。それはお前の友人だろう」
嫌な汗が背中を伝った。
「そいつらを喰ってやろう」
「っ!?」
止める暇もなく、白神様は一瞬で納屋から消えていった。