はらり、ひとひら。


「でも─」

「ん?」


「なんか、嫌な胸騒ぎがするんだ」


面をずらして、鞘に収められた篝火を見つめる。たとえ相手が神でも─剣を振るう時が来たなら、俺は容赦なくこれを振るえるだろう。


-------------------------



「雪路はどうしてあそこに?」


「見張りでございます。主様より人が紛れていないか見ているようにと」


そっか、流石に先生も遊びで来たわけじゃないよね。神崎くんのお手伝いかな。


ふと、妖たちの談笑が耳につく。


雪がこんなに吹雪いているっていうのに、妖たちは楽しそうにお酒を呑んでいる。妖からすれば、天気なんて本当に些事なんだ。



「白神様より先にみんなを見つけないと、っ」


強い雪のせいで、視界がはっきりしない。おまけに、普段着物なんて着ないから動きづらくて仕方がない。




< 407 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop