はらり、ひとひら。
「でも─」
「ん?」
「なんか、嫌な胸騒ぎがするんだ」
面をずらして、鞘に収められた篝火を見つめる。たとえ相手が神でも─剣を振るう時が来たなら、俺は容赦なくこれを振るえるだろう。
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「雪路はどうしてあそこに?」
「見張りでございます。主様より人が紛れていないか見ているようにと」
そっか、流石に先生も遊びで来たわけじゃないよね。神崎くんのお手伝いかな。
ふと、妖たちの談笑が耳につく。
雪がこんなに吹雪いているっていうのに、妖たちは楽しそうにお酒を呑んでいる。妖からすれば、天気なんて本当に些事なんだ。
「白神様より先にみんなを見つけないと、っ」
強い雪のせいで、視界がはっきりしない。おまけに、普段着物なんて着ないから動きづらくて仕方がない。