はらり、ひとひら。


【白神side】


娘の言葉が刺さった。人の子はやはり、絆されていけない。


「─見つけた」


どこから見ても、人間の男が二人。


周りには、九尾狐と鴉らしき者。それからもう一匹妖も。式神を従えているのか。


向こうは気付いていない。丁度いい、喰ってやろう。


妖どもの騒ぎになるかもしれんが─いや、この騒ぎようなら気づかないか。





「…杏子。修羅の血を引く娘か」



自身の手を見つめる。彼女の手は、温かかった。



「馬鹿か」


なにをもたもたしている、私は。早く、あいつらを─


< 409 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop