はらり、ひとひら。
【白神side】
娘の言葉が刺さった。人の子はやはり、絆されていけない。
「─見つけた」
どこから見ても、人間の男が二人。
周りには、九尾狐と鴉らしき者。それからもう一匹妖も。式神を従えているのか。
向こうは気付いていない。丁度いい、喰ってやろう。
妖どもの騒ぎになるかもしれんが─いや、この騒ぎようなら気づかないか。
「…杏子。修羅の血を引く娘か」
自身の手を見つめる。彼女の手は、温かかった。
「馬鹿か」
なにをもたもたしている、私は。早く、あいつらを─