はらり、ひとひら。
【杏子side】
「神崎君、矢野先生!みんな無事!?」
着物が乱れるのも気にせず、私はみんなの元へ駆け寄った。
「椎名さん?どうしたの、白神様は…」
「に、逃げて!危ないの、このままだと食べられちゃう!」
「落ち着け椎名。話を聞かせてくれ」
「話は後で!!とにかく今はここから逃げて!」
─殺気。はっとして辺りを見回した。
「見つけたぞ。人間共」
ゆっくりと白神様は近づいて来た。息を呑んだ神崎君と先生をかばうようにして手を広げる。