はらり、ひとひら。
「どけろ。小娘」
「っ、嫌です」
白神様は、近づくのを止めない。師匠がいつの間にか化けて体勢を低くしていた。警戒している証拠だ。
「どけろと言ったんだ。私は存在する意味などない。居ても意味のない存在だ」
「違うっ」
不思議なお面をつけた顔の下、あなたはどんな顔をしているのか。神に化け妖どもを欺いた行為は許されないのかもしれない。でも、それはいなくなった白神様を思ってのこと。
「貴方は…寂しかったんだ。誰より優しいあなたを祓うなんて、っ!」
「椎名さん!」
ひやりと、冷たい手が私の首にかかる。体が芯から凍りつくようだ。
「放せ、愚行だぞ白神」