はらり、ひとひら。
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「うっ、う…ぐすっ…」
雪が舞うとある日。森の小道、蹲り泣く人の子の姿を見つけた白神は声をかけた。妖である私とはちがい、彼は自由に姿を操れたため人間に化けたのだ。
「どうした?そんなに泣いて。迷子か」
「っ…」
人の子は大層驚いたようだったが、声をかけてくれたことに安心したのか、白神によく懐き、日暮れまで雪で戯れていた。
「もう遅い。ここをまっすぐ行けば出口だ。…もう、森へ入ってはいけないよ?」
「うん!ありがとうお兄ちゃん」
人の子のかわいらしいこと。弱く脆く、小さな命。
「なんのつもりだ。人に気まぐれで声をかけるなど」
「妖に襲われでもしたらおおごとだろう?」