はらり、ひとひら。
「本当やんなっちゃう」
はぁ、と飛鳥は大きなため息をついた。
「そんなこと言ってー。小4のときオレが引っ越すかもって言ったら、大泣きしてたくせに。覚えてるぜ、『いかないで秀』ってずーっとオレの手掴んでイダダダダ!!たんま!!!ごめんって!!!」
「あんたはほんっとうに…!」
「朝比奈…」
「秀くん…」
無限ループだね、と神崎くんと笑った。私がこの町へ来たのは中3の初めごろだ。それ以前は市外の、この町からちょっと離れた大きなマンモス校に通っていた。
弟…海斗の喘息は少し重めで、都会の空気は身体によくなかった。少しでも綺麗な空気のところへ引っ越そうと、母の実家であるこの家に越すことにしたのだ。
海斗の喘息もだいぶよくなり、今ではこの地に来れて、みんなに会えてよかったと思う。