はらり、ひとひら。


「…前までは正直嫌いだったかな。気味悪くて。でも今はそんなでもない。それに、おれが見えるのは力の弱い奴らばっかりなんでしょ?」


シロの小さな頭を撫でる。脳裏に浮かぶ姉ちゃんの顔。


「姉ちゃんは、おれよりもっと強くて不気味なものも見えてるって前に、シロ言ってたよね。怖い思いもたくさんしてるだろし…前に母ちゃんに聞いたけどおれはアヤカシとか、巫女とか戦いとかよくわかんないけどさ」



ちょっと抜けててまぬけで、でも優しい姉ちゃんを守ってやれるのは、多分シロだけしかいないんだ。


もしかしたらまだ、おれがしらないだけで守っている人がいるのかもしれないけど─



「どうか、これからも姉ちゃんのことをよろしくね。シロ」



姉ちゃんの笑顔を守ってあげて。


おれには願うことしかできなかった。



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