はらり、ひとひら。
【杏子side】
「矢野先生が担任でよかったなー」
今日は職員会議だから、私たちは早下校。
神崎君や飛鳥たちと途中で別れて、ひとりで家までの道をゆっくり歩く。あったかい…なんてうららかなんだ。眠い…
「あれ?」
なんだろう、これ。
ぽう、と薄く光る何かが、道端に落ちていた。
「うぎゃ、蛙…ん?な、なにこれ、魚?どっち…!?」
思わず大きな声をだしてしまい慌てて口をつぐんだ。
魚と言われれば魚だし、蛙と言われれば蛙だ。ウーパールーパーに近いけど、もっと小さいし、短い手足と尾ひれのようなものもある。
ぼやっと光ってる。おもちゃ?
あ─ちがう、妖だ。
酷く弱っているように見えた。このままじゃ死んじゃう…放っておけず、意を決して近くの水溜りまで運んであげた。
暫く水の中でじっとしていたが、妖は元気を取り戻したのか短い手足でゆっくり歩いていった。
「あぁ、良かった」
さよなら。