はらり、ひとひら。


「おばあちゃん─」


どんな人生だったんだろう。母を生みすぐに亡くなったと聞いている。彼女は妖と出会い、どう変わり、どういう思いを抱え生きたんだろう。



私は祖母について何も知らない。


それでも何かに感化されるように涙が止まらなかった。



なぜこんなにも、切ないのだろうか。





涙でぼやける視界の中、舞う妖とその姫君は本当に美しく、感応した空が降らす雨は優しく泉を満たしていった。






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