はらり、ひとひら。
「雨かあ」
6月に入った。梅雨前線は義理堅く連日雨を降らせている。
「よっす杏ちゃん」
「ん?なんだ、秀君か。どこ行ってたの?」
トイレ帰り、廊下でばったり。
「日誌取りにはるばる職員室へ」
「日直なんだ?今日移動教室多いから大変そう」
「うげっ、そうじゃん忘れてた…!」
苦い声を漏らす秀くんに吹き出す。私が日直に当たる日はもう少し先だけど、施錠とかちょっと面倒だなと考えながら教室へ戻る。
窓際の自分の席に着くと、窓の外、正門までの道端に咲く綺麗な紫陽花が見えた。