はらり、ひとひら。
鮮やかな紫色がやけに目に染みた。
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玄関を開け、水で湿った夏服を払う。傘を差していたのに随分濡れてしまった。
部屋に戻って着替えると、師匠はクッションの上丸まってすやすやと眠っている。のんきだなあ…と思いつつ白い毛を撫でる。
「…ん?」
今、なにか声がしたような。
『……ごめんください』
玄関から確かに聞こえる声。…人?でも、かすかに感じる妖気。いつの間にか目を覚ました師匠は私の前にちょこちょことやって来た。