はらり、ひとひら。
「む。こんな雨の日に客人とは。…なんだかおかしな雰囲気だな」
「よくわかんないけど上げた方がいいよね」
「待てこら!杏子!妖だったらどうするんだ」
その時は運が悪いってことで。玄関まで行き扉を開けると、女性はぺこりと頭を下げた。
「椎名杏子殿とお見受けする。噂では人、妖関係なく頼みを聞いてくれる便利屋のような方だと」
ちょっと待って、何その尾ひれつきまくりの噂。便利屋ってなに。一応巫女なんだけど…
「ほれ見ろ。お前がなんでもかんでも安請け合いするからだ」
「う…そうだけど。何かあったの?とりあえず、上がってください」
白いブラウスに膝丈のスカートを着たさっぱりとした女性は、綺麗な顔立ちをしていた。年は20代前半くらいだろうか。どこからどう見ても人のようにしかみえないんだけど…