はらり、ひとひら。
「姉ちゃん」
「なに?」
ノックの音がして、すぐに海斗が姿を現す。ルーズリーフと向き合うのはやめなかった。くそう、課題が終わらない…
「母ちゃんから電話。明日の夕飯の、トンカツの材料買って来てって」
えええ!?顔を勢いよくあげた。
「今日じゃないと駄目なの?」
「今日安売りだからって」
ぴらぴらと、海斗の手の中でチラシが踊る。無視したら雷落ちるだろうしなあ。
「一緒に来てくれるでしょ?海斗」
「…別にいいけど」
私は財布と端末だけ持って、海斗と家を出た。