はらり、ひとひら。
─穏やかな風が頬を撫でる。見上げた空は青かった。
「サチ。サチ、居る?」
祈るように呼ぶ。ざああ、と葉擦れの音がして間もなく聞きなれたあの声が。
「……カイト?」
「うん。今日は、姉ちゃんも居るよ」
「そうなんだ。ありがとう、来てくれて」
木の隙間から、ちらちら白いものが見える。
暫くして、サチは躊躇いがちに口を開いた。
「カイト。言わなきゃいけないことがあるんだ。…ごめん、ぼく、ずっとうそをついてた。ぼくは…ほんとは、ぼくは」
「サチ」
はっと暗がりで光る眼と目が合った。あの日助けた鳥とよく似た目。
「いいんだよ」
努めて優しく言うとそれはじわりと滲む。