はらり、ひとひら。
「…飛鳥」
真っ黒い妖に捕らえられて、悲痛に叫んでいたのは飛鳥だった。背筋がぞくりと震える。
…夢だよ。いいえ、そもそも正夢になんて絶対させない。
「皆を守るんだから!」
意気込み、気合を入れるべく頬をぱんぱん叩き階段を駆け下りる。
「おはよう杏子。随分今日は早いわね」
「おはようお母さん」
ヘアバンドで前髪を上げ、冷たい水で顔を洗えばしゃっきりと目が覚める。
「はあ…」
目玉焼きの焼ける音とお味噌汁の匂いに心がほどけていく。
いつもより早く起きた私は、ゆっくりと朝食を食べ学校へ向かったのだった。