はらり、ひとひら。


「あ、秀くん。おはよう」


大きなあくびをしながら、秀君は教室へ入って来た。神崎君が、平静を保った声で訊ねる。


「朝比奈。九条は今日、休み?」


「おー。それがさあ。飛鳥、さっき昇降口でぶっ倒れたんだよ。今さっき保健室連れてった」


さっと血の気が引く。


「ええ!?倒れたってなんで…?」


「よくわかんねーけど、貧血か寝不足じゃないかって保健の先生が。急にふら~っと倒れたから、超びびった」


けらけらと明るく笑い飛ばす朝比奈くんだが、いつもより表情が強張っている。心配でたまらないのは私も同じだ。




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